季の文

ぬくもりの呼吸。
ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ。
星の外 星の中 見えない言葉でおしゃべりしている。
ころころあそぶ 暮らしの模様
違うものたちの ひとつの星で生きるよろこび。






静かに見守る山々のあいまで
朝を植え 昼をめぐり 夕を見上げる。
透明な根っこを育てている。
芽がでて 花が咲いて 種となり
地球の源たちがゆっくりとあなたの結晶になる。






明日に還る一枚の布。
この星の色 交わって 染まって 紡いでいく。
余白の真ん中に 袖をとおす。






文と写真 / 文 香

二〇二二 冬

季の文 二〇二二 冬

しろいひかりに結ばれて
大地が黄昏れるとき
そこに心を置いてみる。



山々の静かなる恵みが
その者たちを受け入れて
甘やかすことなく側にいる。



季の文 二〇二二 冬


温もりとひとつ屋根の下で
のんびりと、一緒にいる。



背伸びすることも
着飾ることもない
暮らしから生まれゆくものたちがそこにある
それに触れるとき、身体の粒子たちが思い出す。
懐かしんで、喜んで、
毎日が簡単に切り離されてしまうなかで
確かに自分が自分と一緒にいてあげられる。



季の文 二〇二二 冬


その手を繋いで、
あぁ、間に合った。と安堵する。



星たちは朝を探しながら
夜空からその者たちの暮らす灯りを見つける。
「あの地上にある星を知っている気がするよ」
おしゃべりしてみたくて
遠くからちらりとまたたいてみせる
そんな星のことばも届いているのだろう。



季の文 二〇二二 冬


「僕たちの欠片をここに置いておくね」
星たちがそっと、そっと、空にとけてゆく。





文と写真 / 文 香